今日は「高床式になった客室」のお話です。
このお話も、「壁の色」のヒミツ同様、テレビや雑誌でたくさんご紹介いただきましたんで、ご存知の方も多いと思います。
大きな理由は二つ。
一つ目の理由は、自然への配慮。
レゾネイトは地形をなるべく崩さないよう、等高線に沿って建物を作るようにしました。
でも、これが実は、自然に対して、一つ我慢を強いることになってしまいます。
それは、「野生動物の進路妨害」。
野生動物は、等高線を横切って走るという性質があると言います。
平たく言うと、高いところから低いところ、低いところから高いところへと移動するということですね。
(放牧されている牛達は、「家畜」だからでしょうか例外で、等高線に沿って歩きます。
その後が、牧草の線になって牧草地に表れてるのが見られます)
それから考えると、等高線に沿って建てたレゾネイトは、この地にレゾネイトが建つ前から住む野生動物にとっては、邪魔で仕方ないものになってしまいます。
実際、レゾネイトの周辺には、野生動物たちがたくさんいます。
敷地内には、野うさぎやキツネの穴がありますし、通退勤中には、イノシシやタヌキもお目にかかります。
「それはコンセプトにそぐわない」ということで、考え出されたのが、客室を高床にし、上へ持ち上げることで、動物たちの進路を確保しよう…という考えでした。
幸いなことに、レゾネイトは床暖房をしておりますので、地面から床までの間に空間が必要でしたし。
二つ目の理由は、風。
レゾネイトは、くじゅう連山からの吹き下ろしの風が吹く場所に建っています。
そのため、建築家は、この場所に吹く風を1年間観察し、その風に配慮したデザインになっています。
その工夫の一つが高床です。
もともと夏でも、都会と比べて5℃以上涼しい場所ですが、更にこの風をうまく利用し、床下を通らせることで、夏でもクーラーが必要ない施設を作りました。
でも、残念ながら、ここ最近は床暖房の仕様を変えてしまいましたこと、 地球温暖化でこの15年の間に久住も真夏は30℃を超えるようになりましたのでお部屋にクーラーを設置したこと、人の気配に警戒する野生動物は、ここを通らず迂回する…ということがわかりましたので、冬の暖房効率の方を優先し高床の蓋を閉めてしまいました。
そのため、以前はご覧いただけた高床ならではの「回廊側から高床越しに草原をご覧いただく」ということもも、残念ながらほとんどできなくなりました。
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