11月の第3木曜日、今年は16日ですね。ボジョレー・ヌーボーが解禁になります。毎年楽しみにしている人も多いでしょう。日本では、もはやクリスマスや正月のようにボジョレー・ヌーボーの解禁が一年の重要なイベントの一つとして定着してきたように思えます。
私は、個人的に日本のボジョレー・ヌーボーの解禁を祝うイベントは少し騒ぎすぎの部分があるような気がしています。コンビニやスーパー等では、年に一度の大イベントとして大々的に広告を出しています。毎年のように「今年は当たり年!」と謳っていますし、「100年に一度の年」がここ10年間で何度かあったような気がします。ワインはその年の気候の影響を受けやすいお酒ですので、当然良い年もあれば、それに及ばない年もあります。違う味だからこそ、毎年飲む楽しみがあるのであり、あまり良くない年には様々な悪天候と戦いながらおいしいヌーボーを造ろうとする生産者の苦悩を、良い年にはそれらの苦悩を乗り越えた生産者の喜びを一本のワインの中に感じる事が出来るのがボジョレー・ヌーボーの魅力だと思います。しかし、「今年は不作の年です」とアピールしても消費者はそのヌーボーを購入しようとは思わないでしょう。そのあたりが難しい所なのでしょうね。
また、ボジョレー・ヌーボーを題材としたイベントを行うホテルやレストランもあります。実際レゾネイトでも昨年まで毎年行っていました。昨年は「フランスを楽しむ夜」と題して、ボジョレー・ヌーボーとフランス音楽を楽しむイベントを行いました。結果的にお客様には好評で、非常に満足していただけたと思うのですが、果たしてボジョレー・ヌーボーと弦楽器の組み合わせが本当に良かったのかという疑問が残りました。ボジョレー・ヌーボーはその年の収穫の喜びを皆で分かち合う気軽に楽しむお酒であると思うのです。決して高級ワインのように、構えて吟味するように飲むのではないと思います。
バブル期には、ボジョレー・ヌーボーの最初のブームがありました。数年前には、健康に良いとして、赤ワインのブームもありました。ひとたびブームが起きてしまえば、生産者はその需要に応える為に、畑の拡張や様々な設備投資を行います。しかし、ブームが去ってしまえば、その影響は、大量の在庫や多額の赤字として生産者を直撃します。ソムリエとして、より多くの人達にワインを広めていくのは当然の仕事ですが、ブームをあおるような広め方は極力避けたいと思っています。また、必要以上のイメージをそのワインに植え付ける事もやはり避けるべきだと思います。
以上のような理由から、今年はボジョレー・ヌーボーを題材としたイベントは行わない事にしました。楽しみにしていた方には大変申し訳なく思っています。レストランやバーではメニューとして取り扱っていますので、お食事と共に、気の合うご家族や友人達と気軽に楽しんでいただきたいと思います。
(タノリエ)
こんにちは。
80年代後半から、90年代前半にかけて、Beaujolaisにとっては、悲劇のような時期だったでしょう。
手摘み収穫のBeaujolaisでは、4万人以上の労働者の思いが、ワインに詰まっています。
ブームで終わらせてはならないワインであり、大切な収穫祭だと思います。
ここ数年、仕事の都合で、解禁日にBeaujolais Nouveauを味わう事が出来ていません。
ですから、1ヶ月ほど寝かせてから飲む事になるのですが、Nouveauらしい若々しさがありながら、落ち着いた味わいになっている事があります。
Nouveauでも、長旅の疲れを癒してから味わってあげるのも良いかも知れません。
今年も、クリスマス前に宿泊予定です。メテオの美味しい料理と、Champagne、そして…Beaujolais Nouveauを楽しみにしています。
投稿情報: タイラー | 2006-11-16 07:46