ポイヤック村にあるシャトー・ラフィット・ロートシルトとシャトー・ムートン・ロートシルト。同じ名前がついていますが、経営者が同じという訳ではありません。時は18世紀までさかのぼりますが、マイヤー・ロートシルトというユダヤ人がいました。ラフィットのラベルやコルクに5本の矢が記された家紋がありますが、彼には5人の息子がおり、その内2人の息子の家系が19世紀にそれぞれラフィットとムートンを購入しました。時は流れ、シャトーはそれぞれの子孫に引き継がれ、現在ではそれぞれが完全に独立した組織として運営されています。
シャトー・ムートン・ロートシルトは、ポイヤックの中心地からバスで約5分の所にありました。訪問者を歓迎するように、きれいに整備された庭園があり、花やハーブが植えられていました。建物自体は特に歴史を感じさせるようなものではなかったのですが、建物の中はまるでホテルのような内装でした。ムートン(MOUTON)とは、フランス語で「羊」を意味しますが、名前の由来は羊ではなく土地の名前に由来しているとの事でした。しかしながらシャトー・ムートン・ロートシルトのロゴには羊が使われていますし、建物の中にも羊にまつわる美術品やオブジェが沢山ありました。牡羊座の私もこのシャトーのワインにはかなりの親近感を持っています。広報担当の方からぶどう畑、発酵用のオーク樽、樽熟成庫、そしてプライベートセラーへと案内されました。地下のプライベートセラーは歴史を感じさせる古い空間で、壁に大きな穴を開け、穴の入口には鉄格子があり、その中の空間にワインが保管されていました。話によると第二次世界大戦中にドイツ軍からの侵攻が始まると、ワインを徴収されるのを防ぐ為にプライベートセラーの壁をコンクリートで塞いでしまい、ワインを守り続けてきたそうです。大戦後に再び穴を開け、鉄格子が設置されました。
このシャトーのワインにはもうひとつ特徴があります。毎年ラベルに著名な画家の絵が描かれているのです。1945年から始まったこのアートラベルは、毎年画家が変わり、パブロ・ピカソやシャガールも登場しています。樽熟成庫の一角には全てのアートラベルが展示してあり、ショップにはおそらくここでしか買えないであろうアートラベルのポストカードやパネルが販売されていました。また、このシャトーには美術館があり、16世紀に造られた銀器やタペストリー等、なかなかお目にかかれない貴重な美術品が多数展示されていました。ポイヤック村にある同じ系列のシャトー・ダルマイヤックやシャトー・クレール・ミロンのラベルに描かれている人形の実物も見る事ができました。
さて、シャトー・ラフィット・ロートシルトの方ですが、残念ながら今回訪問することは出来ませんでした。バスから降り、写真だけ撮ってきました。いつかまたポイヤック村を訪れる機会があれば是非とも訪問してみたいものです。
(タノリエ)
写真左より
シャトー・ラフィット・ロートシルト
シャトー・ムートン・ロートシルト
アートラベルの展示
シャトー・ムートン・ロートシルトのロゴ
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