開業15周年を記念して、「レゾネイトのヒミツ」というカテゴリーを新しく作りました。
「レゾネイト」には、開業に携わった方々のいろんな思いがたくさん「ひみつ」として形やスタイルに表されています。
そんな、今まで、あまり語られていなかった、そして、スタッフも忘れていたような「レゾネイト」にまつわるお話を少しずつお客様にご披露できれば…と思います。
まず、最初は「回廊の幅」について。
ご宿泊された方なら一度は通る回廊。
その幅についてどなたか疑問を持たれた方はいらっしゃいませんか?
一人で歩くなら何ら問題ないのですが、二人で並んで歩くには少し狭い、すれ違うにはもっと狭い…そんな幅です。
一般的な宿泊施設の廊下や回廊は、非常時対策、見知らぬお客様同士が相手を意識せず通れるよう、また、清掃に使うリネンカートがお客様の通行を妨げないようなどのいろんな理由で、建築の基準を満たす範囲でできるだけ広々と取っています。
でしたら、久住高原の地にはいつくばるような平屋建てのレゾネイトでは、ビル型のホテルよりも、もっと広々と回廊の幅を広げることができたはず。
ですが、実際は狭い回廊。
ものすごく矛盾しています。
実は、これ、意匠(意図的なデザイン)なんです。
「レゾネイト」のコンセプトは「自然と人、人と人との共鳴」。
この聞いただけではすんなりとは受け入れにくいコンセプトを身体で体感して納得していただくため工夫がこの回廊の幅に活かされています。
もう少し詳しくお話します。
狭い場所ですれ違う際、人は人に気を遣います。
スタッフとお客様なら、スタッフがお客様に道を譲るのは当然ですが、お客様同士でしたら、どうでしょう。
たくさん荷物を抱えたお客様や、坂では上りのお客様、子どもの手をひいたお客様、ご年配のお客様に無意識に道を譲るのではないでしょうか。
そこに会釈のひとつもあるかもしれません。
会話が生まれればもっと素敵です。
また、同行の方と並んで歩く際にも、いつもよりももっと距離を縮めて歩けば、気持ちの距離も縮まることでしょう。
そんな人が人を意識し、思い遣り、温かい気持ちを思い出していただくほどよい距離感を「回廊の幅」に表すことこそがコンセプトの中の「人と人との共鳴」の一端になると建築家は考えました。
そのため、建築の基準を満たす範囲でできるだけ狭くしているのです。
私たち働く者にとっての利便性は一切排除されてて、「・・・」なんですけどね(笑)
今度お越しの際は、このお話を思い出しながら歩いてみてください。
蛇足ですが、万が一の非常時には、回廊が避難通路となることは言うまでもありませんが、「レゾネイト」の場合、窓から外に出ていただく、もしくは回廊の切れ目から草原に飛び出していただくのも避難の一つの方法です。
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