ボルドー市内から車で約一時間。ボルドー右岸最初の訪問地ポムロール村に到着しました。近年シャトー・ペトリュスやシャトー・ル・パンといったボルドーで最も高い価格で取り引きされるワインを生み出す産地として注目されています。一面のぶどう畑に小さな教会が点在するだけで本当に何もない村でした。かつてはスペインへの巡礼の宿場町として栄えたそうですが、百年戦争とナポレオン戦争で当時の街並みは完全に破壊されたそうです。ポムロールで訪れたのはシャトー・ペトリュス。現在のオーナーであるジャン・ピエール・ムエックス社が所有して以来、その評価は急激に上昇し、ボルドー5大シャトーを一気に飛び越え、他のボルドーワインとは一桁違う価格がつけられています。ペトリュスの名前の由来は使徒ペテロからきていますが、ポムロールでは多くのシャトーの名前がキリスト教に由来しています。
サンテミリオンはポムロールのすぐ隣。ポムロールと同じく、スペインの聖地、サンチャゴ・デ・コンポステーラへ向かう巡礼者の宿場町として栄えました。しかし、ポムロールと異なる点は、中世からの古い街並みがそのまま残されている点でした。世界中から観光客が集まるその古い街並みの中にもワインショップやワインバー、レストランが至る所にあり、レストランでサンドイッチを食べていると、ある有名なワイン醸造家がふらりとサンドイッチを買いに来ていました。まさにワインと共に発展してきた町だという事が実感できました。町の中心地には小高い丘があり、空に向かってまっすぐそびえ立つ大きな教会がありました。その教会の裏には石畳の展望台があり、そこからサンテミリオンの街並みと、その奥に広がるぶどう畑が一望できます。その場所で、何百年も昔から数多くの人達が全く同じ風景を眺めてきた事を思えば、歴史のロマンを感じずにはいられませんでした。
1999年、中世時代からの街並みを残すサンテミリオンの町とその周辺のぶどう畑約7800ヘクタールのサンテミリオン地区全域がユネスコの世界遺産に認定されました。サンテミリオンと名の付くワインは世界遺産の土地から造られたワインであると言う事ができます。17世紀頃に、そのほとんどがオランダ人によって開墾されたメドックと異なり、サンテミリオンのワイン造りは紀元前にまでさかのぼる事ができます。ワインはキリスト教文化のひとつですが、この土地の人々は昔からワインを造り続け、多くの巡礼者がサンテミリオンのワインでもてなされたに違いありません。その独自のワイン文化が世界で初めてのワイン産地の世界遺産に認定された理由であるように思えます。レゾネイトで最も人気があるワインもサンテミリオンです。最初に紹介したシャトー・ぺトリュスを所有するジャン・ピエール・ムエックス社が生産するワインで、「レ・ロゾー・サンテミリオン」と言います。ご宿泊の方には是非一度お試しいただきたい世界遺産のワインです。
さて、ボルドーの旅シリーズは一応これで完結です。ワインをあまり飲まない方にはつまらない話題も多々あったかと思いますが、最後までお付き合い頂いて、本当にありがとうございました。次回からは通常のコラムに戻りますが、フランスで出会っためずらしい物や変な人なども時折ご紹介したいと思います。
(タノリエ)
こちらでお尋ねして申し訳ありませんが
10/20にお問い合わせ方にメールを
したのですが(お正月の宿泊の件で)
届いておりますでしょうか?
投稿情報: snow | 2006-10-24 16:56